Modering Forum 2019に行ってきました

11月28日(金)に開催されたUMTP主催のModeling Forum 2019に行ってきました。

今年のテーマは「新時代のモデリング視点を求めて」と題し、「DX、AI、IoT、Society 5.0、アジャイル開発、マイクロサービスなど、新しい時代におけるモデリングの最新情報に触れていただく機会を提供いたします。」という事で開催されました。

午前中は、基調講演が2講演、午後は講演とワークショップの2トラック構成です。自身、UMTPのモデリング実践部会に関わらせていただいていることもあり、モデリングのワークショップのお手伝いを少々してきました。

全体的にはスーツ率と参加者の年齢層が高いフォーラムですが、内容も開発寄りではなくどちらかと言うと上位層向けといった感じ。

以下、セッション概要等です。

  • 基調講演Ⅰ 「DXレポート作成の背景と政策展開」

    〜データとデジタル技術の重要性をドメインモデルの観点から〜

    経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 ソフトウェア産業戦略企画官 和泉憲明 氏

    • 経産省にお勤めの方とは思えない面白い内容。とはいえ、そこは経産省、1企業の視点ではなく国全体を見ていて刺激が多い。

    • 平成30年9月に出されたDXレポートに書かれている「2025年の崖」とか超ヤバそうw

    • DXは既に始まっていて、AI/IoTは使える時代から消える(小さく気づかない)時代へ移りAIプラットフォームは当たり前の時代になっていく

    • 欧米と比較し、要素技術は日本が上だが、違いはビジネスの考え方 フランスの自動運転地下鉄やスループットを最大化することを考えたAmazon Go等、新しいビジネスが沢山、それに対し日本は・・・慎重というか丁寧というか・・・

       

  • 基調講演Ⅱ 「AI x 量子コンピュータ時代のモデリング

    株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首英裕 氏

    • AIは対象をベクトル化する数理モデルであり、ベクトル化すると計算できるようになる。

    • AIで大切なのはデータ量ではなく、「何を特徴ベクトルとするのか」であり、現場感が大切。

    • AIを実装することはできる。それより大切なものが何にどうやって適用するか。

    • 特徴ベクトルに合ったネットワークモデルを選択する。

    • 計算量の多いAIには、量子コンピュータを活用。

    • 量子コンピュータは既に実用段階にある。

    • 量子コンピュータは、プログラミングするのではなく、「数式」を入力するイメージ。

     

     

  • ETロボコンにおけるモデリングとその評価方法」

    ETロボコンモデリングはどう変わってきたか〜

    ETロボコン本部審査委員長  富士ゼロックス株式会社SOL 基盤開発統括グループ 開発5G グループ長 土樋祐希 氏

    • ETロボコンとは、組み込みシステム技術協会(JASA)主催のソフトウェアコンテスト。

    • ソフトウェアの性能と設計を競う二つの審査。

    • 当初はモデルの利用促進が主な目的。そこから、順に設計品質向上に向けて進化。

    • 前年のモデルとその評価が公開されておりそれがモデルの進化を後押し。

    • 近年では、モデリングパターンが固定化してきており、競技・審査内容を大幅に変更し、新しいモデリング課題を提供。

    • 2019年(今年)のETロボコンの課題としてAI/IoTの要素を導入。

    組み込みのエンジニアとはいえ、AIやクラウドと無縁ではいられなくなってきている事がETロボコンだけを見ても分かるようになってきている。ますます、ソフトウェアエンジニアが覚えることが増えていくな〜

 

  • 「Society 5.0の実現に向けてのSystem of Systemsエンジニアリング」

    慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 研究科委員長・教授 西村秀和 氏

    • システムズエンジニアリングとは、システムを成功裏に実現するための複数の分野に跨がるアプローチおよび手段。

    • ISO 15288が改定され、いくつかのプロセスが追加された。

    • アーキテクチャは、システム要素とその関係性の中で具体化された、ある環境中のシステムの基本概念または特性であり、またシステムを設計し進化させるその原則

    • システムアーキテクチャの決定には、さまざまな観点からの検討が必要

    • マネジメントのの考え方は、Wave Modelとして表される。

    • 利害関係者毎に適切なビューポイントを設定し、抽象度をコントロールする。

    弊社にとってど真ん中の話題。SysMLでシステム設計してUMLでソフトウェア設計する。一番の課題は、皆がそれなりにモデルを読み書きできるようにすること。SysMLでも一部のダイアグラムなら導入は比較的簡単なんだけど・・・パラメトリック図とか内部ブロック図とか今までの設計方法では全く使ったことがなかったり、違う表記方を使っていたりすると途端に導入できなくなる。

    あと、Wave Modelのアーキテクチャ構築と更新の実装からSystem of Systemsの継続的分析に如何に早くフィードバックするかかな。

 

  • 「UMTPモデリングワークショップ」

    株式会社オージス総研 ビジネスイノベーションセンター 原田巌 氏

    メインスピーカーは原田さん。自分は参加者の皆さんの手が止まった時のサポート役。

 

  • おまけ(その1)

    昼を原田さんと食べたんだけど、その時に「一度作った検証用モデルを如何に捨てるか」で話が盛り上がった。

    • 作ってから時間が立つほど愛着が湧いたりもったいない気がしてきて捨てられない

    • モデルはどうしても最終成果物のイメージがあるので捨てづらい

    • 作り直しても最初のモデルのイメージに引っ張られて同じ様なモデルになっちゃう

      とか

      結論ぽいものとしては以下

      • 検証用モデルは最初から捨てるつもりで描く

      • すぐ実装して良し悪しのフィードバックまでの時間を短くする